栄養サポートチーム(N.S.T)
栄養サポートチーム(N.S.T)
栄養療法といえば、かつては糖尿病、高脂血症等に行われるものと考えられていました。
しかし、実際には入院患者の40~50%は栄養不良の状態にあるとされており、より多くの患者様に栄養管理の支援(サポート)が必要であると現在は認識されています。
栄養不良状態になると、
- 免疫機能の低下
- 創傷治癒の遅延
- 合併症(臓器障害、感染症等)の発生頻度の増加
(低栄養状態では感染症等の発生が通常の20倍との報告もあります。) - 入院期間の延長
- 医療費の増加
- 死亡率の上昇
が生じることが明らかとなっています。
Nutrition Support Teamについて
Nutrition Support Team:NST(栄養支援チーム)とは、栄養管理に関する専門知識・技術を持ったチームのことであり、1970年代にアメリカのシカゴで誕生しました。
高カロリー輸液療法(TPN)が普及し、カテーテル合併症が多発したことから、NSTの重要性、栄養管理による経済効果が認められ、1980年代には、多くの施設でNSTが稼働しておりました。現在では静脈栄養のみならず、より生理的で安全かつ経済的である経腸栄養(EN)から経口の栄養をも含めた栄養療法全体を支援するチームとなっています。
赤穂市民病院 Nutrition Support Teamについて
当院においても栄養療法を展開していくため、平成12年12月よりNST立ち上げの準備をはじめました。そして、平成13年4月より栄養管理の改善及び治療の質の向上を目的として、院長直属の組織としてNSTを設立しました。
NSTはPotluck Party Method(各部署・各病棟から1~2名ずつのメンバーを選定し、一般業務を行いながらチーム活動をする方式)を用いて、現在医師10名・口腔外科医師1名・薬剤師5名・看護師13名・管理栄養士4名・検査技師2名・言語聴覚士1名・理学療法士1名・臨床工学技士1名・医療課3名で構成されています。
主な活動は、TPN/ENが施行されている患者様を対象に、栄養回診での栄養評価;ミーティングでの栄養状態不良な方への栄養支援の検討;ガイドライン作成によるTPN/EN管理の標準化等です。
各フロアごとにチームが週1回の回診を行い、身体計測(身長、体重、上腕三頭筋周囲長、上腕三頭筋皮下脂肪厚)、臨床検査値(総蛋白、血清アルブミン、トランスフェリン、末梢リンパ球数等)などから、まず患者様の栄養状態のアセスメントを行います。
そして栄養状態不良でサポートが必要であると判断されれば、どのような栄養状態がその患者様に最適なのか、プランを立てます。そして、主治医とディスカッションした後、そのプランを実行し最適の栄養療法を提供できるよう支援しています。
患者様の病体を複数の医療従事者の専門的な眼で評価し、EBM(根拠ある医療)の概念に基づいたより適切な栄養管理を支援できるよう私たちNSTは努力しています。