赤穂市民病院

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インタビュー「先輩に聞いてみた~赤穂研修医から世界へ羽ばたく研究医へ~」

2014-16年まで赤穂市民病院での初期研修のあと、2023年Science Immunologyに筆頭著者として論文発表されるなど、現在は研究医としてグローバルの第一線で活躍されている大阪大学免疫学フロンティアセンター 助教 白井太一朗先生に後輩研修医2人が「基礎研究の魅力」についてインタビューしました。

初期研修が終わってすぐに研究の道に進まれたのですか?

赤穂市民病院で2年間、初期研修をさせていただいた後、母校の神戸大学膠原病リウマチ内科に入局して、さらに2年間、免疫疾患の診療に従事しました。内科専門医を取得した後、卒後5年目で大阪大学大学院に入学しました。大学院修了後は、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの助教として研究を続けています。

現在私は免疫学の基礎研究に携わっていて、たとえば自己免疫疾患に関する研究も行っていますが、実際に患者さんを診させていただいて得られた知識や経験は、研究をする上でとても活かされていると実感しています。ですので、臨床経験のある医師が研究の道に進むアドバンテージは大きいのではないかと思いますよ!

学生のころから研究に興味があったのですか?

学生のころは部活をがっつりやっていましたし、基礎配属実習にすごくのめりこんでいたというわけでもなかったです。ただ、研究に対する漠然とした憧れみたいなものはあって、できれば早いうちに研究の世界を経験してみたいなという思いはずっとあったように思います。

一方で、初期研修の期間はちゃんと臨床研修をしたいなとも思っていて、救急もしっかりと診られる病院がいいと考えて赤穂市民病院を選びました。様々な背景をもっていらっしゃる患者さんを経験豊かな指導医の先生方のご指導のもと診させていただき、対応できない救急疾患はないのではというくらい充実した臨床研修ができました。

また、研修中には各科で学会発表をさせてもらう機会もたくさんあり、発表を重ねていくうちに少しずつプレゼンテーションが上達していったように思います。私は内科系志望でしたが、なんと外科で論文を書く経験もさせていただきました。さらに赤穂市民病院には、以前に基礎研究をされていた先生やご留学経験のある先生もおられて、最新の基礎研究に関する勉強会も定期的に開催されていました。こういった環境に身を置けたことで、研究に向かう気持ちがだんだんと育まれたのかもしれませんね。初期研修が終わった時にこの先臨床の道しかないって思うことはありませんでしたし、むしろ基礎研究という選択肢がずっと頭の中に残っていたことが今につながっているのだと思います。

臨床にはない、基礎研究の魅力はなんでしょうか?

臨床では患者さんに良くなってもらうことが一番大切なことで、医師としての最大の喜びだと思います。ただある程度はガイドラインに沿って治療していくことが求められますし、治療法のない病気もまだまだたくさんあります。その点、基礎研究では自由な発想とアイディアをもとに原因の分からない病気の解明や治療法の開発にチャレンジすることができます。自分の仮説通りの実験結果がでた時はやっぱりわくわくします。このような積み重ねで、ゆくゆくは患者さんの診療に役立つような研究成果が得られたらとてもうれしいと思っています。

初期研修医であるみなさんにも、この先研究の道に進むチャンスが何度か訪れるかなと思います。臨床だけでなくその経験を活かして研究ができることはとても魅力的なことだと思いますし、いずれ臨床に戻るとしても医師としての考え方の幅が広がるのではないかと思います。ぜひ一度、研究の世界にも飛び込まれてみてはどうでしょうか!

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