赤穂市民病院

医療安全管理指針

医療安全管理指針

令和5年5月改訂
赤穂市民病院
医療安全推進室

Ⅰ.総則

1.基本理念

 赤穂市民病院は地域の中核病院として住民の生命を預かり、安全で質の高い医療を提供する責務がある。

すべての職員は以下に示す「 安全管理に関する考え方」に基づき、患者の安全を最優先に考え「 安全文化」を醸成・定着させるため真摯に取り組むことが求められている。

  1. 1)「人は間違いを犯すものである」という前提に従い、間違いを誘発しない環境や、間違いが患者の 傷害に発展しないようシステムを構築する。
  2. 2)間違いを犯す前兆を看過せず、発生した事象に適切に対応できる能力を養う。
  3. 3)間違いや発生した事象に対して、速やかな報告とその報告に対して迅速に対応できるシステムを構築する。
  4. 4)医療現場で発生する事故を予防するために、医療従事者だけでなく患者、家族にも医療安全に対する理解と協力を求める。

2.用語の定義

1)医療事故

 医療に関わる場所、医療の全過程において患者、家族など来院者、医療従事者に発生した望ましくない事象。過失の有無は問わず、不可抗力と思われる事象も含む。

医療法に定められた医療事故

「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」

医療法第6条の10より抜粋

2)インシデント

 患者に発生した事象を指す広い意味の言葉であるが、当指針では以下のように定義する。
ある医療行為が、①患者に実施されなかったが、仮に実施されたとすれば、何らかの影響が予測される場合、②患者に実施されたが、結果的に影響がなく、またその後の観察も不要であった場合、①、②はいわゆるヒヤリ・ハット事例 ③患者に実施され一時的な検査、治療、経過観察などが必要となったが影響が軽微である場合。

 以上は患者影響分類で0~3aに相当する。

3)アクシデント

 過失の有無に関わらず、医療行為によって、患者に傷害もしくは不利益を及ぼしたもので患者影響分類3b~5に相当する。

4)医療過誤

 医療関連有害事象のうち、医療従事者・医療機関の過失により起こったものをいう。

5)合併症

 医療行為に際して一定の確率で発生する医療関連有害事象を言う。「予期できていた」場合と「予期できなかった」場合がある。

  • 合併症の報告基準

(1)予期できなかった合併症

(2)当該合併症について、患者及び家族の納得が得られない場合

(3)当該合併症により、予定していない濃厚な処置や治療(手術、高度治療室入室、人工呼吸器の装着、輸血、外来患者の入院など)を要した場合

(4)当該合併症により、永続的な障害や後遺症を残した場合、あるいは残すことが予測される場合

(5)当該合併症により、生命に重大な影響を与えた場合

(6)報告することにより再発防止に資すると判断される場合

6)インシデントレポート

インシデント・アクシデントの報告をいう

  • 患者影響分類
区分 内容
インシデント レベル0

エラーや医薬品・医療用具の不具合があったが、

患者などには実施されなかった場合や、

実施されたが患者などには影響がなかった場合

レベル1 患者などへの実害はなかったが、何らかの影響を与えた可能性があった場合
レベル2

バイタルサインの軽度な変化や観察の強化、

安全確認等のための検査などの必要性が生じた場合

レベル3a 簡単な処置や治療の必要性が生じた場合
*バイタルサインの軽度の変化、安全確認のための検査などを施行
アクシデント レベル3b

濃厚な処置や治療の必要性が生じた場合
*バイタルサインの高度の変化、人工呼吸器装着、手術、入院日数の延長、外来・入院患者の骨折などを含む

レベル4a

永続的な障害や後遺症が残ったが、

有意な機能障害や美容上の問題は伴わない場合

レベル4b

永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や、美容上の問題を伴う場合

レベル5 死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)
その他

自殺企図や暴力、クレームなど

Ⅱ.医療安全体制

1.組織体制

当院における医療安全対策の推進のために、以下の組織並びに役職等を設置する。

【医療安全推進室】

 医療安全に関する情報収集、分析、報告、改善提案、教育・研修などの活動を通じて、医療事故の発生防止や医療の質の向上を図る。

2.医療安全推進委員会

 当院における医療安全管理対策を総合的に企画、検討、実施、評価するために、医療安全推進委員会を設置する。委員長の総括の下に、特定の事項を検討するため各種のリスク部会を置く(入院部会、外来部会、透析部会、手術部会)。
 委員の構成は、別途定める医療安全実施要項に明記する。

3.報告等に基づく医療安全確保対策

1)報告の目的

 医療の質を改善し、医療安全対策管理に資するように、当院におけるインシデント・アクシデント事例をできるだけ多く収集し、事故予防策、再発防止策を策定し、実施対策の評価、点検等に利用する。よって職員は、医療安全実施要項に沿って、レポートを提出しなければならない。

2)報告内容への対応など

  1. (1)改善策の策定
     医療安全推進委員会は、報告された事例について検討し、効果的な分析を行い、医療の安全管理上有益と思われるものについて、再発防止の観点から、当院の組織としての改善に必要な防止策を作成する。
  2. (2)改善策の実施状況の評価
     医療安全推進委員会は、既に策定した改善策が、各部門において確実に実施され、かつ安全対策として有効に機能しているかを常に点検・評価し、必要に応じて見直しを図るものとする。

3)その他

  1. (1)守秘義務
     院長、医療安全推進委員会及び各部会の委員は、報告された事例について、職務上知りえた内容を、正当な事由なくほかの第三者に告げてはならない。
  2. (2)不利益処分の禁止
     本項の定めに従って報告を行った職員に対しては、これを理由として不利益な取り扱いを行ってはならない。
  3. (3)医療安全対策に関する会議での意見の尊重
     医療安全対策に関する議論においては、すべての職員はその職種、資格、職位の上下にかかわらず対等な立場で議論し、相互の意見を尊重しなければならない。

4.医療安全管理マニュアルの整備

 本指針に基づき、医療安全管理の方策や、医療事故発生時の対応方法などについて、具体的な手順等を定めた医療安全実施要項を策定し、関係職員に周知徹底を図る。

5.医療事故発生時の対応

1)救命措置の最優先
 患者に望ましくない事象が生じた場合には、当院の総力を結集して、患者の救命と被害の拡大防止に全力を尽くす。また、当院のみでの対応が不可能と判断された場合は、遅滞なく他の医療機関の応援を求め、必要なあらゆる情報・資材・人材を提供する。

2)院長への報告

(1)事故の状況、患者の現在の状態など、所属長を通じてあるいは直接に、院長へ迅速かつ正確に報告する。

(2)院長は、必要に応じて院内医療事故調査委員会を開催し、対応を検討する。

(3)医療事故が発生した場合は、「医療安全実施要項」に基づいて対応する。

3)患者・家族などへの説明

(1)事故発生後、可及的速やかに、事故の状況、現在実施している回復措置、その見通しなどについて患者、家族などに誠意をもって説明する。
患者が事故により死亡した場合は、その客観的状況を速やかに遺族に説明する。

(2)説明を行った職員は、その事実及び説明の内容を、診療録、看護記録など、自らが患者の医療に関して作成すべき記録、帳簿等に記録する。

6.医療安全のための職員研修

 医療安全に関する意識の向上と知識の習得、及び医療の質の向上を図るため、計画的に年2回以上、全職員を対象とした医療安全管理のための研修を実施する。職員は、研修が実施される際には、研修を受講するように努めなければならない。
 また、各職種に対し、適宜、業務上必要な研修をおこない、安全性の向上を図る。

7.その他

1) 本指針の周知
 本指針の内容については、院長、医療安全管理者、医療安全推進委員会を通して、全職員に周知徹底する。

  1. 2) 本指針等の閲覧
     「医療安全管理指針」「医療安全実施要項」は公開とする。

8.医療安全に関する相談への対応

1)相談窓口を設置し、患者及び家族などからの医療安全に関する相談を受け付ける。

2)相談窓口対応者は、医療安全管理者と連携を図る。

3)医療安全管理者は、必要があれば早期から介入し患者・家族を支援する。

医療事故の公表について

 赤穂市民病院では、より高いセーフティマネージメントの確立を目指し、医療事故に関する透明性を確保し、患者さんやそのご家族、市民や地域に対して誠実に対応するため、医療安全対策実施要項の規定に基づき、公表します。

令和5年4月~令和5年9月は包括公表を行う事案(レベル3b、4a)はありませんでした。

医療事故報告(個別公表)

令和4年10月~令和5年3月報告分

令和4年4月~令和4年9月は公表基準に該当する事案はありませんでした。