赤穂市民病院

呼吸器科

診療予定

呼吸器科
午前塩田
(再診予約制)
大道
(再診予約制)

(再診予約制)
塩田
(再診予約制)
橋本
午後塩田
(再診予約制)
大道
(再診予約制)
塩田
(再診予約制)

おばあちゃん また桜餅作って―な

おばあちゃん 起きてーー

ベッドの上に横たわるおばあちゃんの上には縋りつくように沢山のお孫さんがおられました。66歳の短い人生でした。この方はどんなに家族に愛されていたんだろう。

呼吸不全の方でした。痰が出せなくて毎日気管支鏡で痰を取らないと1日が始まらない日々が続いていました。苦しかったんだと思います。なくなる前の8か月間で4回の入退院を繰り返し、この間の入院期間は156日に及びました。そして気管支鏡による吸痰は延べ300回を超えていました。娘さんとも何回もお話合いをしました。本人はもう楽になりたいという気持ちが強かった、でも家族は一日でも長く生きてほしい いろんな葛藤がありました。

そして最期の日がきました。病室は家族で溢れました。こんな光景をみるのははじめてでした。本当にいい家族でした。そしてその人生の最期に関われたことを本当にうれしく思いました。赤穂に帰ってきてよかったと思う瞬間でした。

『先生!僕の事覚えてる?』

『え?・・・・あ!?覚えてる。僕手術したよねえ。』

『そうやで!先生に肺癌で左肺の半分とってもらったのよ。手術した後急におらんようになってもうてからに。あれから13年元気にしてますよ。本当にありがとう。』

『で、今日はどうしたの?』

『それだけや。それだけ言いたかったの』

10年以上前に手術をした患者さんがよくこうして私の外来を訪れてくれます。ありがたいことです。

ある日回診をしていると患者さんが

『先生は休みの日も毎日朝早くから回診しているけど、僕は先生みたいな人生いややなあ。

もっと人生楽しまないと

休みの日は休んで、自分のために時間を使わなくっちゃ』

『僕は毎日回診するのは全く苦痛じゃないよ。もう40年近く研修医の時から変わってないからねえ。それに毎朝患者さんの顔をみないと逆に落ち着かないのよ』

そんな私も2024年1月31日で65歳になりました。そして3月31日で定年を迎えます。4月からの呼吸器診療も大きく変わります。呼吸器科の常勤医はなくなり、今後は京大からの派遣医師が引き続き診療にあたります。皆さんご不便をおかけしますが、何卒ご理解のほどをお願いします。

私は生まれ故郷の愛媛県に帰ります。歳を重ねてこれからの人生、自分のためではなく人のために生きてみたいという気持ちが日増しに強くなってきました。以前のように呼吸不全の患者さんや肺癌の患者さんと一緒にバス遠足に行きたいなあーなんてね。幼馴染の中で人生百年時代を一緒に生きていこうと思っています。今でも幼馴染は僕のことを『てっちゃん』と呼びます。

これが私の最後の『あおはる』かな?

これまで本当にありがとうございました。赤穂の人たちには感謝しかありません。

そしていつの日かまたお会いできることを願っています。さようなら

塩田哲広